公開されて間もないですが、車やレースに1ミリも興味の無い私がめっっちゃ面白い!また見たい!と思えた傑作だったので、アカデミー賞受賞候補作として有力の映画「フォードvsフェラーリ」がなぜこんなにも面白いのか?本作の魅力について、様々な要素からご紹介できればと思います。

※未視聴の方は多少のネタバレを含みますので、ご注意ください。

 

〜〜今回はレビュー自体もいつもとは少し違った表現でお送りします〜〜

 

 

 

 

あらすじ

1966年のル・マン24時間耐久レースで、絶対王者のフェラーリに挑んだフォードの男たちの実話を映画化。フォード社のカー・エンジニアであるシェルビー、彼に腕を見込まれたスゴ腕ドライバー、マイルズのコンビが、友情を育みながら不可能に挑戦していく姿を描く

 

レビュー

未練を抱えた元レーサー×粗暴な天才レーサーの友情がアツいバディもの

なんと言ってもこの映画の最大の魅力はフォード社がフェラーリに勝つため、ル・マン24時間耐久レースに挑むこととなった2人の立役者の熱い友情にあると思う。

 

持病の心臓病のため、レーサーとしての人生に折り合いをつけ、カーデザイナーとして経営者となったシェルビーと、

粗暴で自己中心的、自分を曲げることを知らない天才レーサーのマイルズがタッグを組み、ル・マン24時間耐久レースの勝利を狙う。

ストーリー自体は至ってシンプルな王道バディもの。(なので当然面白い)

 

粗暴で自己中心的で、家族以外の周囲から一線引かれている(劇中ではビーストニクと呼ばれることも)マイルズを天才レーサーと呼び、ビジネスの厄介ごとを全部引き受けた上で頭の硬いフォード社の上層部を言いくるめ、好きなようにやらせるシェルビーと、そんなシェルビーを信頼し、純粋にレースの勝利をだけを求めて走り続けるマイルズ。

この2人の信頼関係は、自分の「面白い」を求め作品を生み出し続ける作家と、その作品をより良いものにし、売るために必要な様々な問題を、時に作家と話し合いながら解決していく編集者との関係性にも見えた。

また、マイルズの奥さんであるモリーや息子のピーターとマイルズの掛け合いのシーンも、マイルズの人間性が上手く表現されていた印象的なシーンだった。

※「最強の2人」等のバディものが好きな方にもおすすめ!

 

 

企業間の競争や内部摩擦を描いた、真の「勝利」の形が問われる大逆転劇

先に挙げた2人を雇ったフォード社の目的は「ル・マン24時間耐久レースでフェラーリに勝利(優勝)し、フォード社のブランド力を向上すること

対してシェルビーとマイルズの目的は「ル・マン24時間耐久レースで優勝すること

一見すると同じ目的であるこの2つは、会社として「良い作品を作り、利益を上げる」ことと、クリエイターとして「(満足のいく)良い作品を作る」ことの対立と似ている。

 

結論として「ル・マンでフォード社が勝利する」という事実は明白だが、真の意味で勝利したのは誰か?ということを考えさせられる物語でもあった。

映画の中では悪役のようにも見えた上層部の人間たちも、プロを見抜き、一任し、会社として譲れない部分は守り通したという点では経営判断の視点では素晴らしい能力だとも言えた。

(これ以上はネタバレが過ぎるので是非劇場でご覧ください)

 

今「映画館で見るべきNo.1」の話題作

これまで長々と拙いレビューを書いてきたが、未視聴の方にはこれから是非見て欲しい作品だと言うことは十分に伝わったと思う。

ダメ押しでもう何点か、「フォードvsフェラーリ」をより楽しむためのポイントを2点ほど記載しておきたい。

まずチケット購入前に確認して頂きたいのは、本作はIMAXで見るべきだということ。

車、レーシングという点でもうお分かりかと思うが、劇場内にエンジン音が轟き地を這うように走るレース(60年代のレースなので、今ほど安全面も保証されていない中のレースであり、危機感を感じる程のスピードに魅入ってしまう。)をIMAXの大画面かつ良音で楽しめるため、爽快感がすごい。

 

加えて、W主演のクリスチャン・ベールの変貌にも注目してほしい。

直近では「バイス」というコメディ作品で主演を務めた彼は、この役を演じるために30kgもの減量を行ったという。

⬇︎左:「バイス」、右:「フォードvsフェラーリ」のクリスチャン・ベール。同一人物とは到底思えない変貌ぶりだ。

天才と馬鹿は紙一重 とも言えるマイルズの役柄を見事に演じきっており、役のハマり方に圧倒された。

 

さいごに

色々とネタバレギリギリの内容も書いてしまったところで、とにかく今、観に行って欲しいことは十二分に伝わったかと思う。

私の中では、直近1年間で観た映画で観終わった直後に「また観たい」と思えた作品としては「ジョーカー」以来のヒットだった。

事実から映画に描かれていない点として、実際はシェルビーとマイルズの2名以外にも、車を作ったエンジニアの苦労と努力は計り知れないと思う。

物語の構成として、本作ではその部分が綺麗にカットされているため、エンジニアの人々にとってはもっとフォーカスして欲しかった点かもしれない。(実際にWIREDの記事WIREDの記事ではエンジニア部分が無いことが残念であるとの指摘があった)

ただ、小難しい車の制作部分を大胆にもカットし、車のレースや友情、企業間競争や内部摩擦にフォーカスしたことで、映像や音も含めたスピード感のあるヒューマンドラマになったことは明白であり、車のコアファン〜ライト層までも広く視聴可能性のある映画という媒体にこの構成を選択し、映像化した点も評価されるべきポイントだと感じた。

 

ここまで読んで下さった読者の方々には、この機会に是非、劇場へ足を運んで欲しい。